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映画「ノッティングヒルの恋人」のロケ地でも有名な近所のハムステッドヒース公園でピクニック英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)首都:ロンドン主要産業:自動車、航空機、電気機器、エレクトロニクス、化学人口:約6,708万人(2020年)言語:英語(ウェールズ語、ゲール語等使用地域あり)-外務省HPより-◆男女格差指数(GlobalGenderGapReport2021)順位は23位*日本は120位(156カ国中)イギリスでの暮らし2014年夏、日本のIT企業でのエンジニアの仕事に限界を感じ、もともと大学で勉強していたデザインの仕事に再度、チャレンジしたい思いが強くなり、大学院で学び直すため、渡英しました。ロンドンに決めたのは大学院が1年間であることとデザイン一つにしても沢山の分野に特化した大学があり、自分に合ったコースを選べると感じたからです。現在は、美術館やイベント会場などで使われているオーディオガイドを制作する会社で働いています。ちょうど1年ほど前に転職したのですが、コロナ禍だったということもあり、初めから今までずっと、リモートワークです。日本では毎朝7時半ごろには会社に着き、終電間際まで働くという生活をしていたので、今の生活は正反対。完全にプライベートを優先した働き方にシフトしました。こちらはそもそも家庭より仕事地球で生きてる私たち〜WorldWomen'sNOW!〜第7回イギリス(左)家のすぐそばのハイストリート(右)近所のレバノン料理屋さんでよく頼む、なすをマッシュしたディップソース「Moutabal」を優先して働く!という人が少ないので、家族の誕生日だから早退させてとか、休暇も、同僚たちは普通に1カ月ほど休みをとって母国に帰ったりしているので、私も日本へ帰るための長期休暇など遠慮なく取っています。イギリスと言えば料理が不味い!とイメージされる方は多いと思いますが、ロンドンには各国の本格料理が食べられる美味しいレストランが沢山あります。特に私が好きなのは中東料理やインドカレー、四川料理です。刺激が強いものが好きなのかもしれません(笑)。女性と仕事ロンドンはとても多国籍な文化なので、一概にこれが現地の女性!と言うのは難しいのですが、子どもや家庭を持っても第一線で活躍し続ける女性が沢山います。私の周りでも、結婚・出産という理由で仕事を辞めた女性は一人もいません。むしろ、夫が長期育休を取り、女性ができるだけ早く仕事復帰をするという夫婦も少なくないです。私自身も、子育てをしながら働くという面では本当にイギリスに住んでいてよかったと感じることが多くあります。例えば、毎日の子どもの保育園への送り迎えは完全に就業時間に被ってしまうのですが、同僚から怪訝な顔をされたことはないです。また、日本では、4月の保育園入園に合わせて仕事復帰の時期を決めたという声をよく聞くのですが、イギリスでは様々なチャイルドケアの形態があるので、自分の生活や仕事のスタイルに合った選択が出来ます。イギリスの医療イギリス国民だけではなく、すべての居住者に対して医療は原則、無料です。日本では高額な中絶費用、無痛分娩、出産、不妊治療、婦人科治療もすべて、です。外国人のための通訳サービスも無料で含まれるのにはびっくりしました。ただし、住んでいる地区によって病院が決められていて自分で選ぶことはできません。まずはGPと言われる、かかりつけ医にかかり、必要な場合は紹介状を書いてもらい大きな病院の専門医へという流れ。予約が取れるのは早くても1カ月、緊急でないとみなされると3カ月後と言われることも。女性の地位男女平等やジェンダー、人種に関してはとても敏感な国です。仕事で写真を選択する機会が多いのですが、偏った選び方、例えば、男性優位を示すような写真や白人のみの写真などを使うと、クライアントから「もっとニュートラル(中立的)な写真と差し替えてくれ」と言われます。今でこそ、男女平等が当たり前なイギリスも、昔は男性優位の文化が根強く、イギリスの代名詞でもあるもパブも女性は立ち入り禁止だったと聞きました。男女に等しく選挙権が認められたのは1928年ですが、1860年代から多くの女性が声を挙げ、積極的な運動を起こしてきたそうです。人の考え方や行動は一朝一夕には変わらないと思いますが、声をあげ、行動を起こすことの積み重ねで、少しずつ変わっていくと思います。現在でも、女性の人権を害するような事件が起きると、街でデモが起こり、色々な方が声をあげます。近い将来、自分の子どもが大きくなる頃には、女性だから何かを諦めなければいけないということがない世の中になれば良いと思っています。MamiyuMishina三品まみゆグラフィックデザイナー。家族はイギリス人の夫と2歳の子ども。趣味は“Eat&Drink!”と仕事の面接で自信満々に答えるくらい食べることが好き。あるレストランで食べたインド料理blacklentildalが美味しすぎて、家で7時間くらいかけて再現したほど。9フォーラム通信2022冬春号