「フォーラム通信」2021年夏秋号

「横浜から男女共同参画社会の実現を考える」。公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会が発行する広報誌です。2021年夏秋号の特集は、「ひとりじゃないよ、『夜廻り猫』のいる風景」、「あなたに届ける言葉のお守り」。


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でそれをうまく共有したり共感したり楽しくやっていけるといいかなと思います。生きてる中で大体の時間はうまくいかないものなのかなって、個人的には思っています(笑)。でも、生きてる途上で、まるで昔友達だったみたいな人に出会えることって、たまにあると思うんです。それまでに情けない思いとか寂しい思いをしてる方が、そういう人に出会った時により嬉しいと感じると思うんですよね。おおむね、ぱっとしないし大変なんだけど、「ああ、あなたも同じだったんだね!」っていう人に出会えることもある。それが今生きている友達になれるような人間だったり、あるいは本だったり、作品だったり、色々なんですけど。ー『夜廻り猫』を読むと、まさに「私のこと書いてくれてる……!」と思える瞬間がたくさんあります。様々な社会問題、コロナ下でのエピソードも出てきます。今、飲食店などで働いていて、コロナで仕事が止まってしまった女性達とか、親とかお子さんのケアをしている方々の生活が、とにかく心配。自分もできることはしようと思うんですけど、もっとドカンと、救済策を早くなんとかして下さい、と思います。イラストは全てⓒ深谷かほる/講談社フォーラム通信2021夏秋号4ひとりじゃないよ、『夜廻り猫』のいる風景すよね(笑)。仲間外れとか、誰でもある程度経験するようなことでも、最初は「どうしよう、もう死んじゃった方がいいのかな」とか思ったりしますよね。でも何回目かになったら落ち着いてきたりとか、友達に「そういう時はこう考えたらいいんだよ」と教えてもらえたりとか。私は、人さまの役には立てないものだなってつくづく思うことが多いのですが、でも、「そういうことってあるよね」とだけは言いたい気持ちで。経験や願いや希望を託して、書いています。私のマンガでは孤独な人もよく出てきますし、孤独な人を肯定してます。自分もいつもおおむね、孤独といえば孤独ですから。「死ぬほど寂しい……」みたいな寂しさは解決できた方がいいと思うんですが、淡々と当たり前のこととして寂しいというか、自分一人で決めて、自分一人で失敗して始末して、なんとかまた次もやってみよう……みたいな〝ひとり加減〟っていうのは、私はいいことだと思っています。それがあってこそ人との関係も楽しいし、有難いと感じられるのだと。やっぱりどうしたって人と一緒には生まれられないし、一緒に死ぬこともできない。痛い目にあうとかも精神的にも肉体的にも共有することってできない。一人の枠でやっていくしかないっていうのはあるのー孤独、闘病中、DVやモラハラやいじめにあっている、性的少数者の方……作品には様々な境遇の方が登場します。ご自分を重ねる方も多いのでは。そして、立ち止まっている時や苦しい時にも、「ただあなたがそこに存在してるだけでいいんだよ」と言ってもらえる気がします。私自身が、自分が生きていて、困った!という時間が長いんです。そういう時には、手際よく人に相談するのって、本当に難しいですよね。本当に困ってる時は困ってると声を上げることができない。ひとしきり、波がやんだ時に、ちょっと前の困ってたことを書くと、「そう、そう」って共感していただけたりするのかなと。息子が入院してしまった時も、仕事しながらできるだけ早く病院に行って、夜も面会時間の終わ4時間、頭の半りまで病院にいて、2分くらいで「どうしよう、どうしよう」って思っていました。あと、子どもの頃に仲間外れにされたこととか、とにかくいつも困っているので、困ることはいっぱいあったんで


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