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地球で生きてる私たち〜WorldWomen'sNOW!〜第3回スウェーデンスウェーデンの魅力私が学部時代の一年間のスウェーデン留学を終え、今度は大学院生としてスウェーデンへと戻った理由。それは一言、「呼吸のしやすさ」に尽きる。飾らない自分に居心地の良さを感じられて、それが尊重される、そんな社会の空気に、私は惹かれている。私は新宿に生まれ育った。ひとりの人間としてではなく、「女」としての価値を、見た目と社会で求められる女らしさ具合で測られることが日常の街。そんな鎖から自由になり、自分の人生に主体的に向き合う自立性が好意的に受け止められ、対等な「ひと」として尊重される場所、それが私にとってのスウェーデンだ。セクシュアル・ヘルスと性教育の重要性私が一番エンパワーされたのは、スウェーデンのクリニックで低用量ピルをもらった時のこと。一通りの説明の後、「他の避妊法も考えた?」と言われた。聞くと、避妊インプラント、リング、注射、シールなど、聞いたこともない避妊法(日本では全て未認可)がいくつも挙げられた。それぞれに効果や持続期間が異なるが、どれもコンドームより成功率が高い。しかも若者には無料・安価だ。医師からの「避妊を考えるのは偉いこと。自分の生活、パートナー、将来にあうものを考えてみてね」という一言は今も忘れられない。スウェーデン王国首都:ストックホルム主要産業:機械工業、化学工業、林業、IT人口:約1,022万人(2018年スウェーデン統計庁)2017年の訪日スウェーデン人数は約5万人(外務省HPより)。2019年の男女格差指数(GenderGapIndex世界経済フォーラム発表)の順位は4位。*日本は2018年度の110位よりさらに順位を下げ、過去最低の121位/153か国中に。(右)大学近くの公園にて(左)フィンランドの性教育を牽引してきたSexpo財団50周年記念パーティーで講演クリスマスマーケットにて自分の人生を自分で選びとるために日本は世界的にみても、女性にとって最も根本的な自分のからだ、今、将来を自分で守る手段である避妊が異常なほど男性に委ねられた国。それを変えるために立ち上げたのが『#なんでないのプロジェクト』だ。だれもが自分の望む人生を自分で選び取り、それが当たり前に尊重される社会の実現のため、私はこれからも走り続けたい。KazukoFukuda福田和子ヨーテボリ大学大学院在学。#なんでないのプロジェクト代表。世界性の健康学会(WAS)YouthInitiativeCommittee委員。大学入学後、スウェーデンに留学。その際に、セクシュアル・ヘルスの重要性や、日本での避妊法の選択肢や性教育の不足に気づく。2017年5月、「私たちにも、選択肢とか情報とか、あって当然じゃない?」との思いで、『#なんでないのプロジェクト』をスタート。緊急避妊用ピルの販売についての署名キャンペーンなど、さまざまな活動を展開している。現在は再びスウェーデンに戻り、大学院で公衆衛生を学んでいる。9フォーラム通信2020春号